あまり政治に関心のない人であっても、フェミニストという言葉を聞いたことがないという人は、少ないのではないでしょうか?
おそらくは「詳しい意味は分からないけれど、単語自体は知っている」という人が多いはずです。
しかし「レズビアンフェミニストとは?」と聞かれたら、途端に「そんなのはじめて聞いた」となるでしょう。
この新しい政治用語について説明する前に、まずは普通のフェミニストの意味について確認しておきます。
フェミニストとは多くの国で伝統的に男性に比べて、自由や権利などが抑圧されてきた女性たちの性差別を解消しようという、女性解放思想論者を示す用語です。
たとえば女性に対して選挙権が認められていない国などで、女性にも選挙権を与えるべきだと主張する人はフェミニストとなります。
フェミニズムは男性と女性の間で扱いが違うこと全てを扱うので、その範囲はとても広大です。
たとえば男性と女性でトイレが別々に分けられているのは差別だと考える人もいます。
ちょっと過激に感じるかもしれませんが、男性用トイレと女性用トイレでは便器の数に違いがある場合が多いので、確かにこれも見方によっては差別の一種と捉えることが可能です。
さらにフェミニズム運動は差別の解消だけでなくその原因自体を取り除こうとする場合もあります。
マルクス主義フェミニズムは、女性差別の原因は資本主義という構造自体に問題があると主張します。
女性が賃金などで男性に比べて不利なのは、現在の資本主義経済自体に欠陥があるという訳です。
エコフェミニズムは自然破壊と女性蔑視に相関関係があると考える思想で、女性の権利を守るために環境保全活動を行っています。
聞き慣れない人も多いでしょうが、ケニア人のワンガリさんはこの活動でノーベル平和賞を受賞しています。
レズビアンフェミニズム
レズビアンフェミニズムとは一体どんな活動なのでしょうか?
これは私たちがこれまで当たり前のように考えていた、「男性と女性の恋愛がスタンダードである」という考え自体を否定する活動です。
LGBTと呼ばれる人たちを保護する運動はこれまでも行われてきましたが、これらはあくまで非ノーマルな人たちにノーマルな人たちと同じ権利を与えるべきだという運動です。
しかしレズビアンフェミニズムは、ノーマルな恋愛自体を女性差別の根源であると激しく非難しているのです。
正確には「現在の男性に有利な異性恋愛」を否定しているらしいですが、最も過激な意見の人たちの中には「全ての女性が男性を愛することをやめない限り、女性の真の開放はない」と主張しています。
近代はインターネットの普及などもあり、これまでは表立って主張することが出来なかったような、様々な政治的な意見が登場し良くも悪くもネットの匿名性によって、それが先鋭化、過激化する傾向にありますがここまで過激な思想は珍しいです。
はたしてこの過激な活動が実を結ぶことはあるのでしょうか?
現実的に考えてこうした意見が市民権を得ることは、極めて難しいといえます。
なぜならばレズビアンフェミニズムは、少数派の権利を主張しているだけではなく、多数派の権利を少なからず侵害しているからです。
まして男性と女性が恋愛するという異性恋愛は、伝統や文化といったレベルを超越して生物としてごく当然の行為であると、地球上のほぼ全ての人間が認識しています。
この考えを改めさせることは極めて困難であると言わざるを得ません。
むしろこうした過激すぎる主張は多くの場合、フェミニズムに反対する人たちがフェミニストに対して「無茶苦茶な意見を主張する人間」というレッテル貼りに利用される危険があります。